『母さん 僕のあの帽子 どうしたんでしょうね…』

まだまだお子ちゃまではあるが、『キッズッキーニ』
植えたワケではないが、リング外で暴れる、勝手に葉を繁らした『タイガージェット シソ』

菊芋の足元で、足元をすくおうと密かに企む『大きくなくてもジャガイモ』

カモがネギ背負ってやって来る『COME ON ネギ』

こちらも植えたワケではないが、ネギの間隙ぬって、勝手に実をつけた『トマ太郎』

おぬしは何者?食べ頃、食べ方も分からん『「君の名は」、のらぼう菜』

キミぐらいに成長したかった『キミ菊芋』


『母さん 僕のあの帽子 どうしたんでしょうね…人参の証明』


母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?
ええ、夏、碓氷から霧積へゆくみちで、
谷底へ落としたあの麦わら帽子ですよ。
母さん、あれは好きな帽子でしたよ、
僕はあのときずいぶんくやしかった、
だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから。
母さん、あのとき、向こうから若い薬売りが来ましたっけね、
紺の脚絆に手甲をした。
そして拾はうとして、ずいぶん骨折ってくれましたっけね。
けれど、とうとう駄目だった、
なにしろ深い谷で、それに草が
背たけぐらい伸びていたんですもの。
母さん、ほんとにあの帽子どうなったでせう?
そのとき傍らに咲いていた車百合の花は
もうとうに枯れちゃったでせうね、そして、
秋には、灰色の霧があの丘をこめ、
あの帽子の下で毎晩きりぎりすが啼いたかも知れませんよ。
母さん、そして、きっと今頃は、今夜あたりは、
あの谷間に、静かに雪がつもっているでせう、
昔、つやつや光った、あの伊太利麦の帽子と、
その裏に僕が書いた
Y.S という頭文字を
埋めるように、静かに、寂しく。

西条八十

切なく、儚く、ほろ苦い想いもやがて自然の力のままに、現れ、そして天へ地へ東西南北へ、その先へ留まることなく、進む。

歩みは違う、進むべき道も違う。それは、植物でも人間でも同じなのかも。

それでも、それぞれの現在地がある。


現すこと、そして進むということ。



都会で生きる脱サラおやじの自然農業サバイバル日誌

『これで食っていけるのか?』と言われた脱サラおやじが、代々自家採種を続けてきたタネを手に入れ、無農薬・無化学肥料の自然農法に取り組む素人天国農園の記録。

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